今回はヨーロッパの厨房についてレポートしてきましたことをご報告致します。
前回掲載しましたアリアンツアレーナは、試合日となると、6000食が用意されるそうです。スタジアムを屋内から観戦できるラウンジ(VIPルーム)が120箇所、8箇所の飲食スペースがあり、20段のスチコンで30室のメニューをこなすようです。どれだけラショナル社の上得意顧客なんでしょうか。
天井が金輪の装飾で巡らされたダイニング
厨房機器という点では、大量調理を目的とするキッチンを見学したこともあってか、日本のように様々な加熱調理機器を並べているわけではなく、ほぼスチコンとブレージングパンで、大半をまかなっています。個人店となれば、コンロもありますが、それも含めて電化が浸透してきているようです。これも厨房の快適環境づくりや、清掃面での利便的向上に重点を置いている結果といえるでしょう。
釜はウォールマウント工法で、釜の下にゴミが溜まらないように、重量のある機器もすべて壁付けにしてあり、脚がありません。(設備投資がすごい)
継ぎ目のない板金類。
こんな新商品もありました。日本未発売のブレージングパン。この操作パネルは、ラショナルのセルフクッキングセンターと同じ基板を使っています。芯温センサー付きで、1秒ごとに食材の状態を機械が把握します。推測ですが、この巨大圧力鍋で調理すれば、自動で温度管理することは勿論、機械が圧力調整をして最適な状態をお知らせしてくれるのではないかと思われます。(でもラショナルの製品ではありません。残念!)
結局この日は、厨房視察日になり、スタジアムのほか、夜は「レーベンブロイ」の醸造所跡にある老舗レストランで食事(ほぼ飲酒)をしました。
レーベンブロイの厨房一部
当レストランも2400~3000食をまかなえる厨房で、醸造所そのままに、迷路のような厨房でしたが、ひとつ発見したことがありました。この日視察した厨房はすべて何千食もまかなえる大きさにも関わらず、ストックスペースが思ったほど無いという点です。「その日の食材をその日に仕入れて調理する。」
クックチルの概念も、衛生面留意からだけではなく、基本的に食物を大事にする着眼点から発展したものであったのではないかと、ふと思いました。ドイツという国は広いので、地方によって独自の文化を形成しているのでしょうが、ミュンヘンという街でひとつの「地産地消」が成立している気がして、ミュンヘンという街は私達がお手本にすべき箇所が多くあるとも思えましたし、良い意味で先進国なんだと感動しました。
どれだけの人間がビールを飲むのか。(ちなみに写真のような500mlのグラスにはラインが引いてあり、それより少ないと、店員さんに「足りないから注ぎ直してください」と文句が言えるそうです。)
そしてドイツを代表するビールを現地で味わえる心地よさに浸りながら、ホテルに帰ったらすぐに朝が来たという日々はつづくのでした。